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ドライバーの重心距離で弾道はどう変わる?

豆知識
ドライバーの重心距離で弾道はどう変わる?

重心距離で何が変わる?

重心距離で何が変わる?
最近のドライバーの性能を語る上でどうしても外せないヘッドの重心位置前回はこの重心の浅い深いに着目し、実際に打って違いを検証しました。

引き続き、弾道調整機能を使って重心の違いが弾道やヘッドの挙動にどのような影響を与えるのかを実験していきたいと思います。
今回のテーマは重心距離!

つまり重心が長い場合短い場合ではどう違いが出るのかというところ。では早速行ってみましょう。

今回試すのは、短い重心と長い重心

今回試すのは、短い重心と長い重心
今回も検証に使用するのは前回同様にテーラーメイドのM1(2017)ドライバー
上下に動くウェイトを動かして違いを検証していきます!

このクラブについては前回もご説明しましたが、あらためておさらいです。
可変するウェイトが2個ついていて、上下に動くものは重心の長い短い、左右に動くものは深い浅いを調整することができます。

上下に動くウェイトの位置を変化させて短いと長いでどんな違いが出るかを検証していきます。

重心が短いとヘッドはどう動く?

前回と同じデータですが比較するためにウェイトを初期設定、いわゆるノーマルポジションで打ったデータを確認しておきましょう。

ノーマルポジションで打ったデータ1
ノーマルポジションで打ったデータ2
そして弾道図がこちら
弾道図ノーマル

前回と同じデータですので変わらず軽いドローです。当たり前ですが。
さて、ここからが前回との違い。今回は上下に動くウェイトをヒール側に動かして打ってみたいと思います。

ノーマル
短重心1
※平均ヘッドスピード46m/sでの計測です。

弾道図 短重心
上記が重心を短くして打ったデータと弾道図です。

赤のラインが一球目です。見ての通り、引っかけフックのような弾道になっていますね。そのせいでついつい2球目は本能的にボールを逃がしてしまいました。スイングとしては良くない例でしょうが、弾道としてはとてもいい例ではないでしょうか。

重心が短くなると重さの中心がシャフト軸線に近寄るため、振った時のヘッドの重さを感じにくくなって感覚的には軽く感じます。そのため、ヘッドのターンがしやすくなり、引っかけやフックが出やすくなるのです。

操作性が高くなると言えますが、スイングの動きにとても反応しやすくなるため、今回の私のように、「返し過ぎてついつい引っかけてしまう」「治そうとしてついつい逃がしてしまう」なんて動きに反応し過ぎてしまう、ということでもあります。

重心が短くなるとヘッドターンがしやすくなる
重心が短くなるとヘッドターンがしやすくなり、ボールがつかまえやすくなる

重心が長いとヘッドはどう動く?

ノーマル3
長重心
※平均ヘッドスピード46m/sでの計測です。

重心を一番長くして打ってみたデータと弾道図がこちらです!
長重心
さて、球筋も左右とバラけていますが、データの数字で一番見て頂きたいのは飛距離です。
実は、重さがヘッドのトゥ側に寄れば寄るほど強い遠心力が働く・・・つまり、クラブを長くしたのと同じ効果を発揮するので、より飛距離が出やすくなるわけですね。

もちろん、いいことだけじゃありません。デメリットもあり、重心距離が短い時と逆に今度はヘッドが重く感じられ、ヘッドターンが穏やかになり、ボールをつかまえにくくなります。

重心が長い

重心が長くなるとヘッドターンが抑制され、直線的な軌道になりボールのつかまりもおさえられる。

重心距離はボールのつかまりを左右する大きな要因のひとつ

さて重心の長さで何が変わるかを検証してみましたが、いかがでしたでしょうか?
まとめてみると重心が短いと長いでは以下のように違いが出ます。

重心の深さが変わると 重心距離の短いクラブ 重心距離の長いクラブ
ヘッドターンのしやすさ ターンがしやすく、操作性が高くなる ターンがしづらく、直線的な軌道になる
ヘッドの生むエネルギー 遠心力の分、小さくなる 遠心力の分、大きくなる
ボールのつかまりやすさ ヘッドが返る分、つかまりやすくなる 軌道が直線的な分、つかまりづらくなる
  • 重心距離の短いクラブは、ヘッドターンや球筋をコントロールしたい人向け!
  • 重心距離の長いクラブは、ターンをさせずに直線的に飛ばしたい人向け!

振り心地としては、前回検証した重心の浅い深いの違いより、今回の短い長いの方が差は少ないですね。

シャフト軸線の近いところで重さが移動しても、ヘッドのターンに関係するところですから、それほど振り心地そのものには影響が少ないのです。ただ重心を長くした時は、ヘッドの重さを感じやすくなるため、振っていてやや重く感じました。

ここでひとつ皆さんに気を付けて頂きたいのは、ひとつのデータが大きく偏っていたとしてもそれだけではヘッドの特性は決められないということです。

重心によるクラブヘッドの特性は、前回検証した重心深度と今回の重心距離両方が作用して決まります。

なので、重心距離が長いからと言って「= つかまらないヘッド」と決めつけるのは早計です。
他の部分でそのつかまりをカバーし、十分につかまるクラブに仕上がってるケースも少なくありません。有名なゼクシオシリーズはその典型で、つかまるクラブとして有名ですが重心距離は長めになっています。

性能に違いが出る部分である事は間違いないですが、ヘッドは様々な特性・データが合わさってできていますから、一つの部分だけ取り上げて決めつけないようご注意を!
思った性能と違ってしまい、買い物に失敗してしまう可能性もありますからネ!

プッシュスライスに効く重心距離の短いドライバー