世界ナンバーワンのボールメーカーであると同時にクラブの使用率でもPGAツアーで一、二を争うタイトリストはアスリートイメージの強いブランドです。
しかし、ことアイアンに関しては「本格派のマッスルバック」から「ぶっ飛び系の中空モデル」まで幅広いラインナップを展開しています。
競技志向の上級者はもちろん、エンジョイ派の初中級者までプレーヤーひとり一人のスキルやニーズに応じて最適なタイトリストアイアンを選ぶことができます。
目次
タイトリストのアイアンとは?
タイトリストのアイアンには2つのシリーズがあります。ツアープレーヤーのニーズに対応したマッスルバックのMBとハーフキャビティのCBは伝統的な軟鉄鍛造モデル。
APシリーズの後継として2019年に登場したTシリーズは、革新的なキャビティあるいは中空構造を採用したモデルです。このほか、ポケットキャビティのVG3が日本専用モデルとして2010年から2020年まで販売されていました。
自分に合ったタイトリスト アイアンの選び方
タイトリストのアイアンの現行モデルは2024年1月時点でMB620、CB620、Tシリーズ5機種の計7機種です。
過去10年以内に販売されていたモデルまで加えると選択肢は40以上。その中から自分にぴったりのアイアンを見つけるポイント、また、中古市場でとくに人気の高いモデルをご紹介します。
求める飛距離で選ぶ
アイアンのストロングロフト化が進んだ昨今、同じ番手であってもモデルによって2、3番手も飛距離が変わることがあります。したがってアイアンを選ぶ際には、まず自分の求める飛距離に応じたロフト角のモデルを見つける必要があります。
タイトリストの現行モデル7機種で7番のロフト角を比較すると、もっとも立っているのは26度のT400。このモデルはフェースが薄肉で反発力も高く、いわゆるぶっ飛び系アイアンのカテゴリーに入ります。
以下、29度のT350の30.5度のT200は飛び系アイアンとしては平均的なロフト角。32度のT150は飛距離を重視したツアーアイアンに分類できます。また、34度のT100と620CB、35度の620MBは飛びよりも狙うことを最優先した完全なるツアーアイアンです。
ちなみにタイトリストのアイアンフィッティングでは落下角度と飛距離の精度を重視しています。アイアンに飛距離を求める人でも、狙いたい番手ではボールを止めることができ、かつ番手間の飛距離差が大きくなりすぎないモデルを選ぶことが大切です。
好みの打感で選ぶ
強さや打点などインパクトの情報をフィードバックしてくれる打感は、コントロールショットを打ちたいアイアンでは特に重要です。
食いつき感や弾き感といったフィーリングはスイングにも影響するため好みの打感に近いモデルを選ぶことが大切です。
アイアンの打感は素材や形状、フェースの打点部分の厚みで決まります。インパクトがわかりやすいソリッドな打感や軟鉄鍛造の食いつきのよさを求めるならマッスルバックのMB系が最高峰、それに次ぐのがハーフキャビティのCB系です。
T100、T100・S、T150は7番よりも大きな番手にSUP-10という弾き感のある素材が使われていますが、ショートアイアンでは軟鉄鍛造キャビティらしい打感を味わえます。
T200やT300はフェースにSUP-10を採用。T350とT400は中空構造の薄肉フェースなのでさらに弾きの強さを感じます。また、Tシリーズでは新しいモデルほど改良されソリッドな打感に近付いています。
ヘッドサイズで選ぶ
ヘッドサイズは構えたときに安心感のあるものを選ぶことが基本です。不安はミスの原因となりやすく、自信を持って振ることがいいスイング、いい結果につながるからです。
また、スイングタイプに合ったヘッドを選ぶことも大切です。球筋をコントロールしたい人には、コンパクトでソール幅の狭いMB系、CB系、T100などがおすすめ。ダウンブローで打ってもソールの抜けがよく、精度の高いショットを打つことができます。
一方、払い打つタイプや打点のばらつきの大きい人が打ちやすいのは、ブレードが長くソール幅の広いT350やT400などです。ヘッドサイズが中間のT200はどんなタイプでもオールマイティに使えるモデルです。
タイトリスト アイアンの売れ筋モデル5選
2019年に初代モデルが登場したTシリーズは、2年ごとのモデルチェンジを受けて現行モデルが3代目。プロが求める寛容性とブレードアイアンのルックスを兼ね備えたT100やT200はどの代も人気を集めています。
また、ディスタンスモデルのT300は飛距離性能とコントロール性を兼ね備えたアイアンとして評価の高いモデルです。
T200(2023年発売)
3代目のT200のサブネームはプレーヤーズディスタンスアイアン。その名の通り、グリーンで止まる高い弾道と飛距離性能を兼ね備えたモデルです。
ブレードの長さはT100と同じでコンパクトですが、広めのソール幅とトゥ・ヒールのタングステンが高い寛容性を実現しています。フェースには反発性能に優れたSUP-10を採用。フェース裏のサポートバーとポリマーにより弾きのよさとソリッドな打感を両立しています。
T200は初中級者からプロまで使えるシリーズの中でもっともオールマイティなアイアンです。
T100・S(2021年発売)
ファスターツアーアイアンのサブネームを与えられたT100・Sは、T100の高いコントロール性能をベースに飛距離性能を向上させたモデルです。
形状はT100と瓜二つですが2度ずつ立てられたロフト設定とバックフェースのマッスルチャンネル(スリット)が高初速を実現しています。マッスルチャンネルによって生まれたフリーウエイトをソールのトゥとヒールに配置。ストロングロフトでありながら球が上がりやすく、高弾道でターゲットをねらえるアイアンです。
T100(2019年発売)
初代T100は718AP2の後継として登場したモデルです。プレーヤーズツアーアイアンというサブネームの通り、コンパクトなヘッドサイズとシャープなトップブレードが優れた操作性をイメージさせてくれます。
同じツアーキャビティの620CBとの大きな相違点は6番から上のロング番手にSUP-10という高強度かつ反発力に優れた素材が採用されていること。また、7番以上の番手はトゥ・ヒールにタングステンウエイトが配置され、見た目よりも打点のミスに強く、球が上がりやすいアイアンとなっています。
T200(2019年発売)
初代T200は718AP3の後継に当たるモデルです。プレーヤーズディスタンスアイアンのサブネームの通り、1番手ほどストロングロフト設定のステンレス製キャビティヘッドにタングステンを複合。
また、ロング番手(4、5番)には反発性能の高いSUP-10フェースを採用。さらに、バックフェースにはボールスピードと許容性をアップさせるマックスインパクトテクノロジーを搭載し、アイアンに求められる飛距離性能、ショットの精度、高い弾道を実現しています。
T300(2019年発売)
ボール初速を向上させるマックスインパクトテクノロジーを強調した斬新なデザインが特徴の初代T300は718AP1の後継に当たるモデルです。
ロフトは1番手以上立っていますが、タイトリストが作っただけあって、ただ飛ぶだけのアイアンではありません。重心を低く深くできるポケットキャビティ構造により、インパクトロフトが増やして高い打ち出し角を実現しています。
プレーヤーズインプルーブメントアイアンというサブネーム通り、飛距離とスコアの両方を改善できるアイアンです。
タイトリスト アイアンの名器5選
近年はドライバーの人気が高まっているタイトリストですが、プロや上級者の間ではアイアンの評価と支持率が昔から高く、数多くのアイアンの名器を世に送り出してきました。
620MBや620CBはクラシカルな雰囲気を持ちながらプレーヤーの最新のニーズに応えてくれる現代の名器。歴代のAP2は多くのプロに支持されてきました。また、日本専用モデルのVG3は打感にもこだわったモデルです。
MB620(2019年発売)
620MBは名器といわれる690MBフォージド(2002年発売)の系譜に連なる本格派のマッスルバックアイアンです。いまや希少な存在となった単一素材の軟鉄鍛造ヘッドのソリッドでソフトな打感は唯一無二。
また、フェースの輪郭やソールの形状は現代のトッププレーヤーのニーズに合わせて磨かれていて、構えたときからショットをイメージしやすく、思った通りにヘッドが抜けてくれます。選ばれたプレーヤーにとっては持てる技術を思う存分発揮できるアイアンです。
CB620(2019年発売)
いまや希少となった単一素材の軟鉄鍛造ハーフキャビティアイアンです。T100が登場したことで620CBは前作の718CBよりも上級者向けにシフト。コンパクトでシャープなヘッドは自分の打ちたい球筋をイメージしやすく、打感やコントロール性能もマッスルバックの620MBに近付きました。
ただし、オプションの3〜5番はステンレスフェースを採用、3、4番はタングステンを搭載しロングアイアンでも番手通りの距離と高さを出しやすくなっています。
AP2 718(2017年発売)
6代目AP2アイアンはツアーモデルのシャープなルックスと軟鉄鍛造らしい打感をあわせ持ちながら、デュアルキャビティ構造とストロングロフトを採用したやさしく飛ばせるツアーモデルです。
ロングとミドル番手(3〜7番)はトゥとヒールにタングステンを配置。さらに、ロング番手(3〜6番)には反発力に優れたSUP-10素材を採用。打点のミスに寛容で番手間の飛距離差をきちんと出せるようにしています。ジョーダン・スピースらトッププロが使用し日本でもヒットしたモデルです。
AP2 714(2013年発売)
AP2シリーズの4代目714AP2は、バックフェースの上部にキャビティ、下部はトゥとヒールにタングステンを配置した中空構造を採用。タイトリストがデュアルキャビティと呼ぶ凝ったデザインにより、優れた操作性と飛距離性能を両立しています。
また、714AP2は歴代AP2の中ではややブレードが長く直進安定性の高いモデルです。ツアープロからアマチュアまで使えるモデルです。ソールにはステンレスが使用されていますが、軟鉄鍛造らしいソフトな打感を味わうことができます。
VG3(2012年発売)
2代目のVG3は低深重心のポケットキャビティを採用し、高い打ち出し角とミスヒットに対する寛容性を実現したモデルです。
また、軟鉄鍛造ヘッドは、フェースとネックが一体成型されているためダイレクトかつ心地よい打感が得られます。タングステンウエイトはトゥとヒールだけでなくネック上部にも配置されていて、適度なヘッドサイズでありながら慣性モーメントは大きく、ミスヒットでも当たり負けしないアイアンに仕上がっています。
タイトリスト アイアンのやさしめモデル5選
タイトリストのアイアンはプロや上級者しか使えないと誤解されがちですが、一般のアマチュアでも打ちやすいモデルがたくさんあります。
ディスタンス系のT350やT400は飛距離性能を追求しながら打感や止まりやすさにもこだわったモデル。VG3はヘッドスピードが速くないゴルファーでも軟鉄鍛造らしい打感を楽しめるモデルです。
T350(2023年発売)
前作までのキャビティバックから中空構造へと大幅な進化を遂げたためモデル名もT300からT350へとバージョンアップしています。
高強度・高反発のSUP-10フェースとマックスインパクトテクノロジーにより前作より高反発エリアが拡大。また、デュアルタングステンにより、アイアンとしては最大級の寛容性を実現。長い番手を持っても安定したキャリーで飛ばすことができます。
上位モデルのT200に似たすっきりとしたバックデザインは大型ヘッドに抵抗感のある人にもおすすめです。
T400(2022年発売)
T400は歴代タイトリストアイアンの中でヘッドサイズがもっとも大きく、かまえたときから安心感があります。フェース面積の広いL字型フェースはマックスインパクトテクノロジーのサポートによりオフセンターヒットでも高初速をキープ。超ストロングロフト設定と相まって圧倒的な飛距離性能をもたらしてくれます。
また、トゥ・ヒールに配置された高比重タングステンが高弾道と直進安定性を実現。ぶっ飛び系でありながらスコアメイクしやすいアイアンです。
VG3 TYPE-D(2018年発売)
VG3 TYPE-DはオリジナルのVG3とはまったく別物であり、超ストロングロフトのいわゆるぶっ飛び系アイアンのカテゴリーに分類されるモデルです。
ユニークなのは素材や構造がショート番手とミドル番手で完全に作り分けられていること。ショットの精度が求められる8番〜SWはネック一体成型の軟鉄鍛造フェースと高さの出しやすいポケットキャビティ構造、飛距離性能と寛容性が必要な5〜7番は高反発SUP-10素材のフェースと中空構造が採用されています。
VG3(2018年発売)
VG3アイアンは日本のゴルファーのために設計された軟鉄鍛造飛び系アイアンです。6代目かつ最終モデルのVG3は、薄肉フェースとネックが一体成型され、高い反発性能と心地よい打感を両立しています。
ポケットキャビティは元々低深重心にしやすい構造ですが、このモデルではロング&ミドル番手のソール全体にタングステンパーツを採用することでさらに低深重心化。ストロングロフトとは思えないほど高い打ち出し角とミスヒットに対する許容性を実現しています。
AP3 718(2017年発売)
718シリーズだけにラインナップされているAP3は、後のT300やT350の原点ともいえるディスタンス系モデルです。
一見するとキャビティバックのようですが中身は中空構造で反発性能に優れたL字型フェースが採用されています。1番手ほど立ったストロングロフト設定とあいまって、高初速かつ高弾道で大きなキャリーを実現してくれるアイアンです。
また、ヘッドサイズがAP2よりもひとまわりほど大きくミスに対する寛容性が高いことも特長です。
まとめ
タイトリストアイアンを選ぶべき理由として一番に挙げられるのは、本格派のマッスルバックからやさしい飛び系まで数多くのモデルが揃っていることです。
また、タイトリストの強みはツアープロの使用率が高く、常に最新のフィードバックが製品に反映されること。また、ボール開発で得られた知見がアイアンの設計にも生かされているため、飛ばすことも止めることも得意。自分の好みやニーズに合うタイトリストアイアンを見つけてレベルアップを目指しましょう。
ゴルフドゥ!オンラインショップ監修
2024年2月