やっとコツを掴んで年間を通して安定した結果が出てきている方にとっても、こと冬季に関しては何かとスコアが崩れやすいものです。
その原因は様々で、改善のためにはいつも以上に多くの事に気を配らなくてはなりません。そこで、冬季ゴルフでもなるべくスコアを崩さず、影響を最小限に抑えるヒントを今回はご紹介します。
目次
冬ゴルフにおける自然的要因の影響
まずは自然的要因での影響について理解しましょう。
気温
気温の影響は数年ラウンド経験を積めば感覚として覚えられる部分ですが、冬季は夏季に比べボールが飛ばす、飛距離が出ません。
これはボールの性質(ゴム性質で硬化する)と気圧(空気密度が高くなり抵抗が強くなる)によるものです。冬のスタート時にカイロでボールを温めている方を見かけますが、実際ほとんど意味は無いでしょう。
そもそも厳密に言うと、この行為自体が「ルール違反」に繋がりかねません。大っぴらに温めていたら周囲から指摘されてペナルティが課せられます。どうしてもという場合は、ポケットの中で済ませるべきでしょう。
どの程度の飛距離ダウンになるのかはそれぞれですが、ある程度練習場でも確認できる事なので事前に夏季と冬季の違いを知っておくのもスコアを作るために把握しておきましょう。
風
季節に関係なく常に風は吹くものですが、特に冬季の北風は強風に感じるものです。(一般的に風速1メートルで体感1℃下がると言われています)
体温が下がれば当然全身に力が入りやすくなり、動きが鈍くなります。その影響によって冬場は何故か肩がこる、疲れるなど、寒さによる身の縮みで力が入ってしまう時間が長く感じられます。
また必ずスコアカードの裏面(コース全体図)などを見て北風が吹いてくる方向を大まかに把握する事も重要です。意外と全体図を見て東西南北を確認されている方は少ないので覚えておきましょう。
これを見る癖がつけば、応用として太陽の昇る方向と沈む方向も確認したり、ホールによっては一日中陽の当たらないグリーンや直ぐに陽当たりが良くなるグリーンなどの情報を知る事も可能になります。
芝生が休眠状態で打ちづらい(低い所に集まりやすい)
日本では多くのコースでフェアウェイの芝が高麗芝(寒冷地除く)なので、夏は青々とし冬季は休眠状態となり茶白くなります。(決して芝が枯れている訳ではない)
この芝生が休眠状態になると幾分ボールの高さが低くなり、いつもの前傾角度ではトップのミスが出やすくなります。更に寒さで肩回りがすくみ、腕が短くなりがちです。構える際には夏季よりもやや深めに前傾を取り、クラブヘッドがきちんとボールまで届くアドレス作りが必要です。
また、芝生の抵抗力が少なくなる事で、転がりが増えて距離が稼げて斜面からの転がり落ちる可能性も高くなってきます。良い面も有る一方、低い箇所にボールが集まりやすいというのが難点です。他人の打った痕に自分のボールが転がり入り込んでしまう可能性も増えるという訳です。
グリーン及びグリーン周りの凍結
スタート時間が早ければ早いほど影響を受けるのは必然です。事前に天気予報などで「霜注意」や最低気温をチェックし、コース周辺の田畑への霜の降り方などに目を配って状況確認しましょう。
特に午前中はセカンドショットで直接グリーンを無理に狙わず、手前から転がし乗せるイメージを持つ様にしましょう。グリーンが凍結しているという事は、グリーン外の周辺もやや凍結していると考えるべきです。
可能であれば、スタート前にキャディさんなどに「特に何番ホールの凍結が強いか」を確認するのも良いでしょう。
冬場のゴルフは自然に逆らってスコアを減らす努力よりも最小限のダメージで抑える努力を!(コースマネジメント)
どうしてもベストを出そうと固執してしまうと、返って結果が悪くなるケースが多く見られます。最小限のダメージでリスクヘッジしながらラウンドするような姿勢が重要となります。そこで以下では、リスク回避のための考え方をご紹介します。
向かい風(アゲインスト)には要注意
「向かい風」が強いホールに限って打ち上げのホールが多いような気がした経験はありませんか。これは一番ボールが飛ばない状況です。特にスライサーにとっては修行ホールとなるでしょう。
少しでも前に飛ばしたい気持ちは充分理解できますが、スライスが大きいほど球は高くなり余計に風に戻され飛ばなくなります。
この場合、いつもよりティーの高さを低くして打ち出し角度を少しでも低くする意識が必要です。あえて長いクラブを短くグリップして高さを抑えてプレーができると風の影響を最小限に抑えられるでしょう。
構え方にも意識を配ろう
前述の通り、冬季は身体全体に力が入り、縮こまっている状態です。これは本能的に表面積を小さくして少しでも寒さから逃れる為の現象なのですが、この状態でスウィングしてしまうとトップやチョロのミスが多く出てしまいます。
対策として、自分の打順が来る前に邪魔にならないように体操をしながら待ったり、やや強い素振りを行ったり、など常に身体を温めておく事が重要です。更に構えるときは普段よりやや前傾角度を深く構える事も忘れずにしましょう。
ボギーオンの精神を
寒い中でベストスコアを更新するのは中々、無い事でしょう。 1打でも少なくプレーしたいのは皆同じです。しかし冬季は色々な厳しい条件が揃っているのでバーディーを狙う方向の努力より、トリプルボギーやダブルパーを打たないように最低限で抑える努力をするべきです。
ショートホールでは2オン、ミドルホールでは3オン、ロングホールでは4オンと無理のないプレーを心掛けましょう。この精神がスコアメイクには必要でしょう。俗に言う「ボギーオン」です。
こうする事でクラブ選択にも余裕が生まれ、強風の中でもギリギリのクラブ選択はしなくなるはずです。気持ちに余裕があればスイングにも余裕が出ますよね。大叩きしてスコアを崩すのは大体、数ホールです。この数ホールの打数を抑えられればベストスコアも見えてくるでしょう。
冬のラウンドでスコアアップを目指す上での服装の注意
最後にスコアアップを目指す上での服装についてご紹介します。気温が下がれば下がるほど厚着になり、身体の自由が奪われます。かといって夏のような服装は間違ってもできません。ではどのような工夫が必要かをご紹介致します。
温めるのは上半身より下半身
体内の血液は心臓から手足の指先などの末端部分に送り出され「ふくらはぎ」に押し戻されて再び心臓へ戻ります。この時、冷えた血液が心臓へ戻されると体温も下がりやすくなりますので、まずは「ふくらはぎ」を温める工夫が必要です。
冬季は最近定着したヒートテックなどズボンの下に防寒肌着履き、その上からふくらはぎに貼るカイロをつけます。加えてレッグウォーマーでふくらはぎを覆えば完璧です。ズボンを履けば上半身は普段よりも1枚少なめでも大丈夫でしょう。
上半身に重ね着しても良い結果は生まれにくく、いかに下半身(ふくらはぎ)を温めるかが鍵となります。
上半身の暖かい組み合わせ
最近は保温性に優れたアウターが多く出ています。これも大切なアイテムですが、肌着にもっと着目して頂きたいです。インナーは薄くて肌に密着するものを重ね着すると温かさが増します。肌と肌着の間に隙間を作らず空気を触れさせないのがポイントです。
オススメはハイネック型の長袖ヒートテック2枚重ねです。素材は薄くて暖かいのは文句なしです。一番下に着るのは一つサイズの小さい物を選び密着度を増させます。
2枚目は通常サイズで完璧な重ね着の完成です。あとは肩甲骨周りにカイロを貼って風を通さない素材のアウターで準備万端です。
まとめ
冬季は夏季に比べプレー条件が厳しくなります。
技術の向上ももちろん大事ですが、特に冬季は事前準備(気温の把握、北風方向の把握、余裕が有るクラブ選択、少しでも快適にプレーするための服装の工夫etc)の要素の方が重要度は高いでしょう。
最後になりましたが、冬季のラウンドではパター練習を必ず後半のスタート前に距離合わせのために練習を行っておきましょう。凍結中と融けた後では転がり方が違うので面倒と思わず、最小限のスコアで抑えるためにぜひ実行してみてください。