
ゴルフクラブの中で最も飛距離を出すことのできるドライバーは、スコアアップを目指すにあたって大切な役割を担います。
本記事では、人気ゴルフメーカー「テーラーメイド」のドライバーをゴルファーのレベル別にご紹介。最新のモデルから過去に登場して以来ロングランの人気を誇るモデルまで、たくさんの種類があるドライバーそれぞれの特徴を解説しています。
ご自身のレベルに合ったものを選ぶ参考にしてみてくださいね。
目次
テーラーメイド ドライバーの特徴
1979年にゴルフ用品のセールスマンとその仲間3人で創立されたテーラーメイドは、その長い歴史の中で革新的な製品を生み出しながら多くのゴルファーに愛されてきました。
次世代のカーボンウッドとして登場し人気となったドライバー「STEALTH(ステルス)」からも分かるように、テーラーメイドのドライバーは新作登場までのサイクルが短いことが特徴です。
2024年2月2日には最新ドライバー「Qi10(キュー アイ テン)」シリーズを発売。飛距離と直進性を兼ね備えたうえ、扱いやすいドライバーとして注目されています。
そんなテーラーメイドがこれまでに発売してきた歴代モデルやその特徴について独自視点で紹介いたします。
テーラーメイド ドライバーの代表シリーズ
昨今のテーラーメイドの代表シリーズといえば、STEALTH(ステルス)、SIM(シム)、GLOIRE(グローレ)、M(エム)などが有名です。
これらのシリーズは数年ごとに新作が発表されており、ドライバーごとに詳細な機能は異なるものの、プレースタイルに合わせて展開されています。これらの歴代代表とも言えるドライバーシリーズの特徴についてお伝えしていきます。
STEALTH(ステルス)
2022年2月に登場したSTEALTH(ステルス)シリーズは、発売前から話題となっていたことが記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
ステルスドライバーの最大の特徴はフェース面にカーボン素材を採用していることです。ドライバーはチタンフェースが多いですが、これをカーボンフェースにすることで軽量化を実現。その分の重量をウッドの各所に配分することで扱いやすく、飛距離が出やすい設計になっています。
ステルスは打音も特徴的ですが、これはプレーヤーが心地良い打感を感じられるようにテーラーメイドのサウンドエンジニアリングチームが研究を重ねた結果だそうです。
SIM (シム)
2020年2月に登場したのはSIM(シム)シリーズ。SIMシリーズ発表の際には、後で説明するMシリーズからの「卒業」と表現されました。このシリーズの名前は、Shape In Motion(シェイプ イン モーション)の頭文字をとっています。
SIMドライバーはヘッドソールの突起部分である「イナーシャ・ジェネレーター」を搭載することで、空気抵抗を抑えることでヘッドスピードが速くなるように設計されています。
ほかにもフェース面に角度をつけることにより左右へ曲がってしまうミスに対応する「ツイストフェース」やMシリーズで搭載された「スピードインジェクション」などさまざまなテクノロジーを備えています。
GLOIRE(グローレ)
テーラーメイド初のプレミアムクラブシリーズとして2012年に発売されたGLOIRE(グローレ)。グローレは今回紹介する中では最も歴史のあるシリーズです。
当時はグローバルモデルのドライバーも多かった中、日本人プレーヤー向けのクラブを作ろうと開発されました。ボールがつかまりやすい設計でスイートスポットが大きいフェースや軽量なヘッドで扱いやすいうえ、飛距離もよく出ることで長年人気のシリーズです。
昨今では「ステルスグローレ」など、ほかのシリーズの機能と掛け合わせたモデルも登場しています。
M(エム)
2015年に発売されたM(エム)シリーズは、発売されるごとに番号がつけられ、2019年までにM6まで登場しています。モデルごとに変化と進化を重ね、プレーヤーのレベルに関わらず人気のシリーズです。
この名称は「Multi Material」の頭文字からとったもので、「複数の素材」を意味します。Mシリーズが発売されるまでのドライバーと比較して軽量化されたヘッド、調整可能な弾道、マイルドな打感と打音がブラッシュアップされました。
またMシリーズの最後に発売されたM5、M6ではルール上限まで反発を高めたフェースにレジン素材を注入することによって調整する「スピードインジェクション」が搭載されています。
テーラーメイド ドライバーおすすめモデル
ここまで紹介した歴代を代表する4つのシリーズのほかにもさらに歴史のあるシリーズもあり、モデルで数えれば数十種類もの型をラインナップしてきたテーラーメイド。
量販店の店頭に並ぶのは新しいモデルばかりですが、中古ショップやネットでの売買も簡単にできるようになった昨今は、コスパの良い中古の型落ちモデルや往年の名器といったモデルを購入される方が多いです。そんなたくさんの種類の中から自分に合ったドライバーを選ぶためのヒントをお伝えしていきます。
人気売れ筋モデル
新作のドライバーでも数ヶ月ちょっと待てば中古として多くの量が出回るようになります。
中古と一口に言ってもテーラーメイドに限らず、イメージするような古いものではなく、比較的新しいことが多いので「誰よりも先に試したい!」というわけではないのであれば、中古相場の値が下がってからだったり、商品評価が分かってから購入するのも一つの手だと言えます。特に人気の高いモデルを3つ紹介いたします。
ステルス(2022年発売)
同年にステルスシリーズは3モデルを発売しており、その中で最もスタンダードなタイプです。ステルスシリーズはフェースにカーボンを60層重ね軽量化、重心をヘッドの後方に置くことでブレのない打球が実現します。ツイストフェースを採用しておりスイートスポットも広めでやさしい設計です。
SIM MAX(2020年発売)
もともとSIMドライバーには手動で重心を変えることができる「可変式ウェート」を搭載していましたが、このSIM MAXはこれをなくしています。これにより直進性に特化したSIMシリーズの中でも、重量をヘッド後方にすることが可能となりヘッドのブレを最小限に抑え、さらに直進性を高めたモデルとなっています。
また、「イナーシャ ジェネレーター」をまっすぐではなく斜めに取り付けたことで空気抵抗をなくし、ヘッドスピードアップをサポートします。ただ、ややつかまりにくい設計になっているので、初心者をはじめ、右へ曲がるミスの多いゴルファーには不向きです。上級者にとってのやさしいドライバーといったような位置付けとなっています。
ステルス2(2023年発売)
発売されたのがつい最近のように感じるステルス2も、現在は半額ほどで購入可能です。
フェースはもちろん、ソールやコンポジットリングにもカーボンを採用したことで、テーラーメイド史上初めてヘッドのカーボン素材使用率がチタン素材を上回りました。カーボン素材はチタンやアルミに比べて軽量なので、これにより余った分の重量を大胆に配分することが可能になりました。
先に説明したステルスとの違いとしてはボールの弾道が挙げられます。タングステンバックウェイトといって25gの重心をヘッド後方につけたことで、ボールが持ち上がりやすい設計になっています。
初代ステルスを使ってみたけど弾道が低くて飛距離がイマイチだったがこちらを試したら飛距離が伸びた、というプレーヤーもいるようです。
コスパの良いロングセラーモデル
数あるドライバーの中でも愛用者が多いテーラーメイドは「名器」と呼ばれるモデルが多く、性能の良さと信頼の高さで評判です。発売年が古いモデルであれば、中古市場に出回るクラブの数量が増えるので値段が下がっています。
新しいモデルが次々と出る中でも変わらない人気を誇るドライバーが手頃な価格で手に入ると考えれば、試す価値あり!コスパの良い名ドライバーの中からおすすめの3モデルをご紹介します。
SIM(2020年発売)
テーラーメイドならではの独創的で革新的な機能を搭載したSIMは2020年登場以来、長年の人気を誇ります。まっすぐと無駄な回転のないボールで飛距離を伸ばしたいゴルファーに愛されています。
このSIMから搭載された「イナーシャジェネレーター」や、打点が芯からずれたとしてもミスにつながるスピンがかかりすぎないようにあらかじめフェースに角度をつけた「ツイストフェース」のほか、特に注目したいのが「可変式ウェート」です。
自分で重心の位置を変えることができるので、コントロール性向上が期待できます。初心者だとなかなかこの重心を変える作業は難しいかもしれません。つかまりやすさが欲しいけど、左へのミスも抑えたいといったような中上級者におすすめです。
M6(2019年発売)
Mシリーズでは、このM6をもって新しいモデルは出ていませんが、こちらもロングセラーのドライバーで中古クラブ売れ筋ベストテンの常連です。性能が良いうえに中古市場では1万円代からの購入も可能ですので試す価値ありのクラブといえます。
SIMシリーズの前身ともあって、「ツイストフェース」や「スピードインジェクション」が搭載されているためミスに強く、かつ飛距離アップを狙えるということに加え、これまでのMシリーズよりもカーボンが多く採用され、ヘッドが軽量化されました。同時発売されたM5よりもボールのつかまりが良く、やさしいモデルとなっています。
M4(2018年発売)
この記事で紹介するモデルの中で最も発売から時間が経っているM4ですが、今も変わらず愛用者が多い名器です。M5・M6が登場したことで値段が下がり、そのコスパの良さから人気に拍車をかけました。
M4の強みは、左へ曲がるスライスの課題を修正してくれること。秘訣はやはりツイストフェースです。チーピンやフックなどのミスショットに悩んでいたゴルファーたちにとって、気持ち良く振り抜けるドライバーとして発売当初話題となりました。
カチャカチャ付きでシャフトとのカスタムも自分好みにしやすいことも特徴です。ロフト角によってボールが上がりにくくもなるので、調整機能を活用して自分のスタイルに合わせて使えます。
アスリート向けモデル
ここからはアスリートや中・上級者におすすめしたいテーラーメイドのドライバーをご紹介します。
ヘッドスピードが速く、左右への大きなミスも少ないゴルファーであれば、多少のミスであっても力強く振り抜くことができる寛容性や打ち分けのしやすい操作性の高いヘッドを備えたドライバーを選ぶことがスコアアップのポイントとなります。以下では3つのモデル別におすすめポイントを見ていきましょう。
ステルス プラス(2022年発売)
ステルスシリーズの中で最も「ハード」とも言われるステルスプラスは、タイガー・ウッズをはじめ多くのテーラーメイド契約プロによって使用されています。
ステルスプラスにはテーラーメイドが開発した10gの「スライディングウェイト」という調整機能を搭載。左右へ自身で重心を移動することが可能となり、大きなヘッドでありながらも打ち出しや弾道をプレーヤーに合わせてコントロールしやすくなっています。
ヘッドスピードやインパクトのパワーが足りないと低いフェードボールやドロップ気味のショットになってしまうなど、ある程度のスキルが必要なクラブです。しっかりとしたヘッドスピードが加わることで低スピンの弾道で飛距離を伸ばすことができます。
ステルス2 プラス(2023年発売)
ステルス2 PLUSにもステルスプラスと同様の「スライディングウェイト」が、今回は15g搭載されていて、自身のスイングや打ちたいボールに対し好みのアレンジが可能となりました。
ステルスと比較した時のステルス2の特徴としてボールが上がりやすい点をお伝えした通り、このステルス2プラスにもヘッド後方に15gのスチールバックウェイトを搭載したことでボールが持ち上がりやすくなっています。これによる効果として高慣性モーメントも実現しています。
ロフトとシャフトを接合する部分には「FCTロフトスリーブ」が採用されているため、ロフト角の調整までも可能となっています。打ち出し角を変化させることで弾道をコントロールするほか、スピン量を変えることもできます。
SIM2(2021年発)
SIM2シリーズの特徴はヘッドのパーツを溶接ではなく接着する成形方法です。
ほとんどのドライバーヘッドは成形する時に溶接をするため不要な厚みや重量がうまれてしまうところを、「フォージドミルドアルミニウムリング」を使用してイナーシャジェネレーターを搭載したカーボンソールとカーボンクラウンを接着しています。これにより、余剰重量を配分して重心を下げることに成功しています。
SIMで搭載した「スピードインジェクション」機能でトゥとヒールの2箇所に注入した樹脂をトゥのみに変更。これによりさらに反発計数ギリギリかつ反発性能を感じやすい設計になりました。
アベレージ向けモデル
ゴルフ暦を重ね、平均スコアを90-110ほどで回るアベレージゴルファーなら、ドライバーの買い替えも検討している方も多いのではないでしょうか。
アベレージゴルファーのドライバーを選ぶ際のコツは、ご自身の癖や理想のイメージを見直すことです。これまで使ってきたドライバーだと物足りなかった部分や新たな課題に向けて、スペックの違うものに買い替えることもゴルフ上達には欠かせません。
ステルス グローレ(2022年発売)
カーボンフェースを搭載し、発売から話題となったステルスと、扱いやすく飛距離も出しやすいグローレ(GLOIRE)、両方の特徴を持つのがこのモデルです。
ヘッドを見ても分かるように、ソール後方にウェイトがあるステルス的特徴に加え、軽くて振りやすいことを長所とするグローレの特徴を持ち、ヘッドスピードに自信のない方が使っても高弾道でしっかりボールを飛ばすことができます。
芯にミートさせることでヘッドの性能がより発揮されるため、ミスミートが少ないゴルファーにとってはとても強みになりそうです。
ほかにも今のドライバーがイマイチ振りにくいという方やヘッドスピードが以前より落ちてきたと感じる方はこのドライバーでカバーしてみてはいかがでしょうか。
ステルス2 HD(2023年発売)
ステルス2 HDの「HD」はハイドローからきています。ステルス2との大きな違いはソールのフェース側にあるウェイトの位置です。ほとんど中央に配置されたステルス2に対しヒールよりとなったことで、重心距離が短く、つかまり性能が高くなりました。
長さも短くなったので、より振り抜きやすく、コントロールが高いモデルとなっています。ちなみにこの長さ調整はシャフトではなくヘッドのネック部分でなされているので驚きです。
扱いやすさ、つかまりやすさ、ボールの上がりやすさといったバランスが良く、ゴルファーのスキルもある程度必要となるモデルとなっています。性能だけに頼らず、練習でしっかり結果を残したい方におすすめです。
SIM2 MAX(2021年発売)
発売年の2021年には永峰咲希や山内日菜子など、ひとつ多くのテーラーメイド契約女子プロゴルファーに使用されていたのがSIM2 MAXです。
SIM2シリーズの中で最もスタンダードな位置付けのこのモデルは、重心が深くミスに寛容なところや程良いつかまり具合で人気があります。
総重量も程良くやさしく扱えるので、幅広いゴルファーに使われています。イナーシャジェネレーターに24gのウェイトを搭載したことでよりブレに強く、低スピンでまっすぐと伸びるショットが実現します。
スリーブを使ってオープンフェースにすることでドローボールが打てるとの報告も。右へのミスにプレッシャーを感じず打てるプレーヤーにおすすめです。
初心者向けモデル
ここからは初心者の方向けのテーラーメイドのドライバーをご紹介します。
ゴルフを始めて間もないプレーヤーにとってはドライバーを選ぶのも難しいですよね。そのような時は、ご自身の課題と目指したいショットを見直してみましょう。練習はもちろん大切ですが、ドライバーの性能によってカバーできることもあります。
初心者ゴルファーによくある課題として、ボールが上がりにくい、右へ曲がるスライスなどがありますので、そこをカバーできるクラブを選ぶことがポイントです。
SIM2 MAX-D(2021年発売)
「SIM2」シリーズの一つでSIM2の3つのモデルのうち、最もボールがつかまりやすい設計となっています。
このモデル名につけられた「D」はドローバイアスといって、インパクトする時のフェースが左に向くように設計されたモデルです。
初心者プレーヤーが安定しないスイングをすると、ボールがうまくつかまりきらずフェース表面でこすりあげてしまうことでスピンがかかり、右へ大きく曲がってしまうミスがあります。そんなスライスのミスが多い方におすすめなのがこのドライバーです。
ただ、もともとSIM2が低スピン性能を備えたアスリートモデルのため、極端に簡単というわけではないことも念頭におきましょう。
SIM MAX-D(2020年発売)
前項で紹介したSIM2 MAX-Dの前モデルです。発売が1年ほど古い分、中古などが出回り価格も下がりやすく、初心者でも手を出しやすいのもメリットと言えます。
先に販売されていたSIMやSIM MAXが、初心者など一定数のプレーヤーにとってはよく飛ぶ分スライスしやすかったため、フェースをややフックよりにすることで課題をカバーしたモデルが登場しました。
SIMやSIM MAXの直進性や飛距離を残しつつ、ミスヒットへの寛容性を高めているので初心者の方でも気持ち良く、大きく強く振ることができるので、スイングからしっかり身につけたいという方にはぜひ手にとっていただきたいクラブです。
M グローレ(2018年発売)
日本人向けに作られたグローレ(GLOIRE)シリーズと、革新的な機能を備えたMシリーズが融合したドライバーです。多くのプロにも使われるMシリーズのドライバーが、やさしくなったモデルといえます。
総重量はグローレシリーズの系譜を引き継いで比較的軽くなっているので、パワーがないプレーヤーでも扱いやすいのが特徴です。
左右のミスショットに強い「Mシリーズといえば」のツイストフェースは、グローレならではの打感の良さを実現するためフォージット=鍛造製法との掛け合わせています。
ボールもつかまりやすいので、総重量の軽さとヘッドの重心を生かしてミスに臆することなくしっかりと振り抜けば、高弾道で飛距離の出るショットが可能となります。
まとめ
テーラーメイドの歴代ドライバーシリーズのステルス、SIM、グローレ、Mのモデルをゴルファーのレベル別に分けながらご紹介しました。
プレイする人の課題に合わせて細かく研究されたドライバーがラインナップされていることがお分かりいただけましたでしょうか。世界中で愛されるテーラーメイドだからこそ安心して選ぶことができます。ぜひご自身のスタイルや好みに合わせてぴったりのドライバーを選んでください。
ゴルフドゥ!オンラインショップ監修
2024年4月